もしゼロから少人数運用可能かつ頑強なデータ基盤を構築しろと言われたら
ミニマムかつスケールするデータ基盤を構築する方法を考える
Google Cloud Next Tokyo '26 に登壇してきました
気付けば9月…雨がちな天気になって少し涼しくなってきた昨今ですが、いかがお過ごしでしょうか。
去る7/30(木)に行われた Google Cloud Next Tokyo '26 において、朝日放送グループホールディングスから「現場が使ってナンボ! AI と少人数で支える業種横断データ基盤と Looker フル活用」という題目で登壇させていただきました。
(夏真っ盛りの時期の話を今更するのか、という感じですが…😅)

この規模の会場では初めての登壇でしたが、なんというか、エキサイティングでした。ありがとうございました。
アーカイブはこちらのページよりご確認いただけます。
だいぶ遅くなってしまいましたが、これを機に、本ブログにも 当グループにおけるデータ基盤構築のポイント をまとめていこうと思います。
何本かに分けての執筆となる予定ですが、今回はまず、 「もしデータ基盤をゼロから構築することになった場合に意識すべきこと」 というところについてまとめていきます。
データ基盤の必要性と着手の重要性
元々、我々のような非 IT 企業にとって、「データ基盤」というものは縁遠い存在でした。
DX の流れなどに煽られて「データの利活用」を掲げることになった企業は多くあったかと思いますが、突然そう言われた場合、多くの課題に直面します。
例えば…
- そもそもデータを見る文化がない
- データが色々な場所に散らばっているのをどうまとめたらいいかわからない
- データの分析は誰が行うべきかわからない
などといったところでしょうか。
大きくは、散らばったデータの統制(ガバナンス面を含む)・分析のための育成・文化の醸成が課題となると思います。
そしてこれらは一朝一夕では解決しないものですので、時間をかけて対応していく必要があります。
「データ基盤」はそのすべての土台となるものであり、それがないと何も始まらないので、もし「データ基盤をゼロから構築する」必要が出た場合、今すぐ着手していく必要があります。

我々朝日放送グループも放送事業を中心にコンテンツ事業・ライフスタイル事業の3事業でグループが構成されており、一つの会社の中でも所管部署が違うだけでデータは一元化されず紐づかない、ということが多く起こっていました。
そして当然ですが、これがグループ全体になると難易度はさらに上がります。
目指す組織像をハッキリさせる
その上で、目指すべき「データを利活用できる環境・組織」とはどういうものかを考える必要があります。
セッションでは下記のスライドを用いて説明しました。

我々としては、「データを元とする意思決定を現場が行える組織」を目指して、それに向けて必要な
- 統合された柔軟なデータ基盤
- きちんと整ったガバナンス
- 現場社員のリテラシー向上
といったところに一つ一つアプローチしていきました。
「データを元とする意思決定を現場が行える組織」で、その根本となる「データ基盤」の品質が怪しいと、ビジネスそのものが破綻しかねないことに注意が必要です
この「現場が」という部分が重要です。データを誰がどう処理するのか、という体制の話につながります。
依頼を受けて結果を返す「データ処理組織」を置く形は分かりやすいのですが、十分なリソースがない場合はそこがボトルネックになり、すぐにパンクしてしまいます。
すると結果として、データ利活用に対してネガティブな印象を与えてしまいかねません。

つまり、リソースを潤沢に取れない組織こそ、現場が自分でデータを見て動ける状態=現場の自走を目指さないといけない、ということになります。そしてそれを支えるデータ基盤は、少人数で運用できるものでなければなりません。
少人数で運用できるデータ基盤の構築のためには
では技術的な観点から、上記のような組織を支えるためのデータ基盤の要件を満たすためにはどうすれば良いでしょうか?

データ基盤は恒久的な稼働を見据えて構築する必要があるので、特に少人数で運用することを求められている場合は
サステナブルで、属人化を排除できていて、AI-Ready であること
が求められます。そしてこれらは上記スライドにある通り、実質的に同じ内容と考えています。
データ基盤に関するすべての構成要素はコード管理されているべきですし、
→ 細かいルールやナレッジも管理されているべきで、
→ そうなっていれば属人化は排除されており、 AI による作業も可能となる
→ 結果、人手を介さずとも多くの課題が自動的に解消しサステナブルな基盤となる
ということです。
今、ゼロからデータ基盤を構築する場合、間違いなくこの状況を目指すべきだと考えています。
そして、逆にいうと、この思想でデータ基盤を構築できた場合は最小人数での運用が可能であり、 AI 登場以前はなかなか人的リソースの観点から難しかった組織でもデータ基盤を構築していくことはかなり現実味を帯びてきている印象です。
(実際、我々の組織が数人規模でグループ全体のデータ基盤を高い品質で回せています)
まとめ
今回はゼロからデータ基盤を構築するためにまず考えるべきことについて記述しました。
AI の登場により、スモールな組織であっても、スケールするデータ基盤を運用することは不可能ではなくなりました。
が、一方で、データ領域に関してはドメイン知識なども含めて AI に丸投げでは解決しにくい内容も多く、構成の検討も含めて丁寧に進めていく必要があります。
そこで、次回は実際に我々が採用している Google Cloud でのデータ基盤の構成について触れていきます。
(もちろんアーカイブの動画内でもすでに触れていますので、興味があればぜひご覧ください!)
AUTHOR

朝日放送グループホールディングス株式会社 デジタル・アーキテック局 データ戦略チーム
アプリケーションからインフラ、ネットワーク、データエンジニアリングまで幅広い守備範囲が売り。最近はデータ基盤の構築まわりに力を入れて取り組む。 主な実績として、M-1グランプリ敗者復活戦投票システムのマルチクラウド化等。





