re:Invent2023視察レポート 〜Media Service編〜
AWS re:Invent2023の視察報告第二弾ということで、こちらの記事で一緒に参加した同僚が視察レポートを書いていますが、私からはメディアサービス編ということで、ご紹介させて頂きます。
AWS re:InventはAWSが年に一度ラスベガスで1週間に渡って開催しているイベントで、Keynote を始め、セミナーやワークショップなどの様々な種類のセッションなどが用意されていて、AWSユーザーやAWSパートナーが世界中から集まってくるイベントです。
今回のAWS re:Invent2023にはABCから2名参加しました。新しいサービスや機能の情報収集だけでなく、普段触っているAWSサービスでも知らない機能があったり、AWSサービスの知識だけでなく基礎技術の学習やアーキテクチャの考え方の説明なども含まれており、幅広く学ぶことができました。何より、1週間集中的にインプットの時間に費やすことは普段ではなかなかできないので、そういった意味でも非常にいい機会になりました。
会場の様子をご紹介します。
Keynote会場の様子
Keynoteのリモート会場の様子
Expo会場(展示ブースエリア)オープンの瞬間
WorkShop Sessionの様子
少人数のBuilder’s Session
セッションではホワイトボードを使って解説も!
早い日は朝8時からKeynoteが始まり、日中はホテル間を行ったり来たりしながら1日にセッションを6〜8個くらいハシゴして、夜の懇親会では業界限らず交流する機会もあったり、非常に充実した(なかなかハードな?笑)1週間でした。
それでは、私が参加したセッションの中からメディアサービスのセッションを3つほど、紹介します。
Live video streaming with Amazon CloudFront and Peacock
まずはこちらのセッションの紹介です。
NBC Universal ソリューションアーキテクチャによるPeacockの事例紹介
日本ではあまり馴染みはないですが、NBC Universalが運営しているPeacockという、映画、ニュース、スポーツ番組などのコンテンツを提供している配信プラットフォームの事例をNBC Universalのソリューションアーキテクチャの方が紹介されていました。Peacockでは、冬季オリンピックとスーパーボウルを同時に配信していたり、FIFAワールドカップの配信などをライブ配信しています。また、2023年12月1週目の週末には約50のライブイベントを配信し、同時に最大7つのライブ配信があったようです。
Peacockはライブ配信基盤を構築する上でパフォーマンス・セキュリティ・信頼性という観点から『アプリケーションのロード時間』『再生エラーの最少化』『低遅延』『高画質(4K・HDR・60fps)』『バッファ時間の最小化』の観点を大事にしているという話からCDN選定の条件や新しいユーザーの広告体験への取り組みなどの紹介がありました。
配信で何かトラブルがあった際もユーザーがプレーヤーでの再生エラーが起きる前にオリジンやCDNの自動フェールオーバーできるように構築されていて、その仕組みも説明されていました。
緻密に考えられた配信基盤の構築により、品質の高い配信ができているということがわかる充実したセッションでした。
Get the lowest latency for your live video streaming use cases
続いて、こちらのセッションでは低遅延配信の技術の解説から始まり、サービス要件に合わせた技術(AWSサービス)の選択が必要ですよということをご紹介されていました。
動画配信遅延の要因
皆さんもご存知の通り動画配信には遅延がつきものです。
動画配信のどこで遅延が発生しているのか最適化された配信構成を元に説明されていました。
ここではAWS Elemental Link → AWS Elemental MediaLive → AWS Elemental MediaPackage → Amazon CloudFrontを使ったHLSのワークフローを元に各要素のどこで遅延が発生しているかや遅延が発生している理由などの説明がありました。
WebRTC技術の紹介
低遅延ということでいうと、WebRTCを使うと約200msecの遅延量での通信が可能だが、ピアツーピアの通信のため、配信先が増えるとクライアントサーバーを用意するなど、工夫が必要だいう内容を掘り下げて説明されていました。
最適なAWSサービスの選定
そして、低遅延だけでなくビジネス要件(画質・セキュリティ・広告・スケーラビリティ・コストなど)に合わせた配信技術(AWSサービス)を選定する必要があるので、要件を整理した上で使用するサービスを選択する必要があるということをお話しされていました。
一通り、説明が終われば、会場の方からの質問にも答えながら、具体的なユースケースに対して最適なAWSサービスやその設定などもざっくばらんにディスカッションされていました。
Secured and optimized media delivery with Amazon CloudFront
最後はこちらのセッションを紹介します。セキュアで最適化された配信を構築する方法についての紹介でした。
「MediaTailorを使ったSSAI広告挿入の仕組み」や「AWSサービスで構築するDRMの仕組み」や「CloudFrontのエッジでトークンを使ったセキュリティ」などの基本的なところを丁寧に説明していただけました。
また、配信基盤を構築する際に考慮すべきことはたくさんあり、例えば下記の点などについてもきちんと考慮されているか。などのお話がありました。
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最適なアーキテクチャを構築しているか。
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配信帯域は十分に確保されているか。
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全ての上限を引き上げているか。
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監視すべき重要なメトリックスは何か?
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誰がトラブルシューティングを調整して対応するのか。
基本に立ち返って考えさせられる非常にいいセッションでした。実際の配信基盤を構築する上で基本的な技術をAWSサービスと紐付けて学ぶことができ、より深く理解ができました。具体的なサービスまで落とし込んで説明してもらえると、イメージしやすいものですね。
まとめ
メディアサービスのセッションを3つ紹介させて頂きました。配信技術において、設計する際に考慮すべき点やAWSサービスを使ってどうやって最適化するかなど、様々な観点で学ぶことができました。セッションだけでなく、懇親会などのNetworkingの機会も充実していて非常に有意義でした。帰ってきてまだ1ヶ月しか経っていないですが、また機会があれば是非行きたいなと思います。AWSを普段触って業務されている方は是非一度経験されることをお勧めします!私自身も非常にいい経験になりました。