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2026-03-09

広報

AI ショート動画コンテスト@DXフェス2026 “天下一生成会” の裏側

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“天下一生成会” の裏側

先月開催した、朝日放送グループ全社向けイベント『DXフェス2026』(イベント内容はこちらの記事をご覧ください 👀) 。昨年開催してからもう 1年も経つのかと、1 年の早さには日々驚かされますね。あっという間のこの 1 年で私は何が成長できたのかわからないのに対して、生成 AI の成長、画像・動画生成 AI も例に漏れず、凄まじい成長ですね。

そんな生成 AI に焦点をあてて開催した『DXフェス2026』内では、上記記事内でも触れている通り、 “天下一生成会” と銘打ってショート動画コンテスト 🏆 を開催しました!その名の通り Google Veo3.1 を用いて生成した 8 秒の動画のクオリティを競うというものです。

この記事では、そんな “天下一生成会” の裏側をお話しさせていただきます。

 

企画

企画の根底には、まず 「動画生成 AI に触れてもらう」 、そのうえで 「動画生成におけるプロンプトの重要性」 「生成 AI を使う上での注意点」楽しみながら学んでもらいたいという思いがありました。

DX フェスの中でも朝日放送グループ社員のみなさんに幅広く参加してもらえるイベント展示的なポジションで、競技性をもたせつつも、“競技” とすることで参加のハードルがあがらないような見せ方 (「コンテストタイトルも硬すぎない方がいいよな…」とか) を実現するのに頭を悩ませました 🤯

チームメンバー + AI で協議の結果、

  • コンテストタイトル: 『天下一生成会 〜アイデア一発!8秒ムービー〜』

  • 評価方法:

    • ❤️ 心: 動画に込めたメッセージ

    • ⚔️ 技: Veo を使いこなすプロンプト力

    • 💪 体: 動画の完成度

と決まりました。

 

内容を詰めると浮き上がる課題

タイトルや評価方法をはじめとし、ざっくりとやることが決まったので、細かい演出とそれに付随する形で PoC 用アプリの制作にとりかかりました。すると当然ながら課題がたくさん出てきます。

 

所用時間

動画生成をする以上、 プロンプト思考 → プロンプト入力 → 動画生成 のフローは必ず発生します。チームメンバーでテーマを決めて実際に動画を作ってみると、「面白い動画を作ろう」という気持ちからどうしても 10分程度はかかってしまいます。DXフェス当日はここに説明の時間も加わり、さらに普段生成 AI を触り慣れていない方もいらっしゃるとなると・・・20分は見積もっておかないといけません。他の展示もある中で果たしてそこまで時間を割いてくれるのか 🤔 という不安が生じました。

 

動画の完成度

ここも実際に動画を生成してみてわかりました。 Veo 3.1 のデフォルト尺である 8 秒で何かを表現するのは予想以上に難しく、あらかじめテーマが決まっていて全員がそれを知っているとはいえ、見るのに退屈してしまう動画ばかりができあがってしまいます。これもテーマを工夫することで解決しないといけません。

 

コスト

何といっても動画生成にはお金がかかります 💰

Veo の料金は、720p または 1080p の場合 (※ 公式ページ参照)

  • Veo3.1: $0.40 / second

  • Veo3.1 Fast: $0.15 / second

ですので、8 秒の動画でも Veo3.1 だと $0.4 / s x 8s = $3.2 で 1本あたり 500 円弱、Veo3.1 Fast でも $0.15 / s x 8s = $1.2 で 1本あたり 200 円弱かかります。プロンプトの重要性を伝えるためにも納得のいく動画が完成するまで何度も試してもらいたいのですが、制限を設けないのは現実的ではありませんでした 💸

 

試行錯誤した結果

メンバー内で何度も実験した後、ようやくコンテストルールが決まりました 👏

動画のテーマは 『あなたが主演!架空の映画のCMを作って』コンテスト参加者自身が登場する動画を生成してもらいます。エントリーするまでのざっくりとした流れは以下の図の通りです。 image

自分自身のスマホを使ってもらうことで参加のハードルをさげ、さらに知った顔を登場させることでなんとか見ていて退屈しない動画に、コストはかかりますがモデルを Veo3.1 Fast として 1 度だけ動画生成をやり直せるように、と課題へ対処しました。

他にもできるだけ多くの方に参加して楽しんでいただけるよう、

  • 「自撮りをUPするのはちょっと・・・」や「時間がない」という方のために、コンテスト外で動画生成できる体験版アプリを別途用意

  • 展示会場の大きいモニタにコンテストエントリー済の作品を自動再生しライブ感を演出

  • 模範解答となるサンプル動画とそのプロンプトを表示するタブレットを展示員に配布

  • プロンプトのコツ資料を展示会場に掲示

  • コンテスト終了後に、エントリー動画 + プロンプトの一覧ページを展開

など、の工夫を凝らしました。

 

アプリ制作

細かい演出まで決まってしまえば、後はそれを実現するアプリを作るだけです。

 

UI

完成したアプリの一部をお見せします。 6002c9cc-aca8-4c75-945d-d13108a69adf image

アプリユーザが動作を迷わないように 1 動作につき 1 画面という構成です。

自分自身に動画に登場してもらうため、動画生成の前のフローで Nano Banana による画像生成を含めています。所要時間は増えるのですが、 「 1 フレーム目の画像を決める」というのも動画生成のコツとして知っていただくことを優先しました。

また、動画生成に制限をかけつつ、プロンプトの思考は DX フェス会場以外からも行えるように、動画生成のトリガは展示会場での QR コード読み取りに限定しました。特定の端末から QR コードを読み取ることでしか動画生成は開始されません。

その他、上図にはないですが、

  • ログインにはマジックリンクを採用 (本当はログインも省略したかった 😿) して参加者の手間を少しでも少なく

  • Nano Banana による画像生成を 1 つのプロンプトから 3 枚用意してプロンプト修正なく画像を選びやすく

  • Gemini による入力プロンプトの評価コメントを表示

なども工夫したポイントです。

 

アーキテクチャ

全体図もお見せします。 image

特筆するところもなく、Next.js + Supabase + Vercel というよくある構成です。

実は恥ずかしながら今までちゃんとフロントエンドを実装したことがなく、今回が初めてでしたが、非常に簡単に実装できました。リレーショナルな DB は久々でとても使いやすかったです。AI様様、SaaS様様です 🙇

実装していて感じたのは、AI のコード生成力の凄さと痒いところまでは届かない (私の指示が悪いだけの可能性大) という点です。フロントエンドは 7-8 割書いてもらえた一方で、バックエンドは手で修正することが多く、体感で 7-8 割は自分で書いてしまいました。ここはモデルの選択であったり、与える指示のスキルを磨いていかないといけません。

 

おわりに

無事、DXフェス2026 を終え、結果としてフェス来場者の半分近くの方がコンテストに参加してくださいました。私自身も展示員として参加していたので、みなさん楽しんでいただいている様子を感じることができて「企画してよかったな」と感じました。

一方で、参加してくださったみなさんを見ていると、コンテストのフローに沿って進んで動画を生成することに夢中で、なかなかプロンプトのコツをお伝えしきれなかったなという反省もあります。

普段 PC と向き合うことばかりでイチから何かを企画することが少ないので、普段考えないことを考えさせられるとてもいい機会でした。バックエンドの開発が多く、いつも自分の保守運用のことしか考えていない私にとっては、ユーザ目線に立つことがとても難しく、メンバーに軌道修正してもらわなかったら悲惨なものができあがっていたはずです 😅 これからはフロントエンドの実装にもどんどん取り組んでいきたいところですね 💪

 

 


この記事の著者

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山野 悠

朝日放送グループホールディングス株式会社 DX・メディアデザイン局 サービス開発チーム

動画配信・災害情報・データ放送など社内の運用負荷軽減のためのCMS開発に従事。 プロジェクトの規模に応じて、ディレクション業務からアプリケーション開発、サーバ設計までを担当。 デスクワークによる運動不足解消のため、日々ウエイトトレーニングに励む。